賃貸の初期費用を全項目解説|相場・払わなくていいもの・交渉術まで札幌の現職仲介マンが全部教えます

賃貸の初期費用、見積もりをもらって驚いた経験はありませんか。

敷金、礼金、仲介手数料、保証会社、火災保険——項目が多すぎて何が何だかわからないまま、言われた金額をそのまま払ってしまう人が圧倒的に多いです。

ただ、初期費用の中には「払わなくていいもの」と「交渉できるもの」が確実に存在します。知っているかどうかだけで、数万円単位の差が出ることも珍しくありません。

この記事では、現職の仲介マンの目線から各項目の相場と交渉の可否をまるごと解説します。すぐに試せる内容がほとんどなので、ぜひ取り入れてみてください。

この記事で分かること

  • 賃貸初期費用の相場、金額の目安
  • 払わなくていいもの・交渉できるもの・絶対に払わなければならないものの違い
  • 支払先によって交渉の難易度が変わる理由
  • 見積もりで確認すべきポイントと、現場で実際に使える交渉の進め方

仲介メモ 交渉の注意事項

新築・専任の物件や、空室の少ない東京などの一部エリアでは交渉が難しい場合があります。

過度な交渉は審査に悪影響を与えるケースがあるため、あらかじめ交渉可、不可の線引きを理解しておきましょう。

札幌の賃貸初期費用、総額の目安

家賃の3〜5か月分が実態

賃貸の初期費用の総額は、一般的に家賃の4~6か月ほどです。

札幌は敷金・礼金物件が多いため、うまく交渉を進めることができれば初期費用はおおよそ3〜5か月分に収まります。

項目一覧と相場早見表

費用交渉ができる項目・できない項目を見分けるためには、「まず支払い先を見極める」ことが重要です。

お部屋を見た後、まずは仲介会社に概算を出してもらいましょう。

各項目が仲介会社への支払いか、オーナー・管理会社への支払いかを確認してください。これだけで交渉の可否や難易度が分かります。

項目支払先相場交渉備考
敷金オーナー・管理会社なし〜1か月分難しい最初から敷金なし物件を探す方が現実的
礼金オーナー・管理会社なし〜1か月分条件次第築浅、駅チカなど人気物件は難しい
前家賃・日割り家賃オーナー・管理会社家賃1〜2か月分条件次第オーナーとのフリーレント交渉次第
仲介手数料仲介業者家賃1か月+税が上限可能0.5か月+税まで交渉可。相見積もりで無料になる場合も
保証会社費用オーナー・管理会社総家賃の30〜120%不可相場は50%、管理会社指定。
火災保険料オーナー・管理会社年3,500〜10,000円条件次第自分で選べる。補償内容の条件を先に確認
鍵交換費用オーナー・管理会社15,000〜30,000円可能基本は貸主負担。中古シリンダーなら無料になる場合も
退去時清掃費オーナー・管理会社2〜5万円(単身)可能退去時払いへの変更を交渉できる場合あり
室内消毒費用要確認1〜2万円条件次第仲介会社のオプションなら交渉可
24時間サポート要確認月数百円〜条件次第仲介会社のオプションなら交渉可
交渉するなら仲介業者に払う金額から!

上記の表のように、仲介会社への支払いは比較的交渉しやすいです。

仲介手数料や追加オプションは仲介会社が設定しており、現場での裁量が効きやすいです。説明を受けて不要な場合は断りましょう。

オーナーと交渉するならこの項目

管理会社・オーナーへの支払いや家賃の減額などは難しいことが多いですが、一部対応してもらえるケースもあります。

フリーレントの設定、敷金・礼金の減額、退去時清掃費を入居時払いから退去時払いに変更するといった交渉は、物件や担当者次第ですが応じてもらえることがあります。

特に札幌のような地方都市では貸す側も空室に悩まされている場合が多く、築浅物件であっても融通が効くケースも多いです。

仲介メモ

費用を交渉していくうえで、仲介会社へ支払う費用をすべてゼロにしようとするのは非常に難しいです。仲介会社も営利企業なので、名目はさておき何らかの費用は発生すると思っておいたほうがいいでしょう。

仲介会社は貸主から紹介報酬を受け取っているケースもありますが、「できるだけ安くして」「全部タダにしてほしい」という交渉は現場では相手にされません。

「初期費用は○○万円までで考えています」、「仲介手数料を割り引いてくれるのであれば即決します」というように、目標のラインとこの業者で借りたいという意思表示が重要です。

敷金

敷金は何のための費用?

敷金は、物件を借りる際のオーナーへの担保です。

退去時の清掃や原状回復費用に使われ、未使用分が原則返却されます。家賃の滞納・短期の解約があった際にはそちらに充当される場合があります。

仲介メモ 敷金償却の慣習について

関西を中心としたいくつかの地域では、敷金償却という慣習があります。

敷金のうち一部がオーナーのポケットマネーになるというもので、償却分が退去時に戻ってくることはありません。

実質的礼金のような扱いになるため、事前に物件資料や契約書を確認しておきましょう。

札幌の相場

札幌では敷金なし〜1か月分が主流で2か月以上必要な物件はほぼ存在しません。

築浅・築浅の物件でも敷金不要の物件が多くあり、オーナー判断によるところが大きいです。

交渉の可否

敷金ありの物件場合、外す交渉はかなり難しいです。

無理な交渉は審査に悪影響なので、最初から敷金のかからない物件を探すかその他の費用を削るのが現実的です。

敷金アリの物件は退去費用が安くなる!

退去時にかかる清掃費が入居時に支払う敷金から充当されるため、退去時に清掃費を一括で払う必要がなく、身軽にお引越しができるというメリットがあります。


礼金

何のための費用か

礼金とは、オーナーへのお礼として払う金額で、敷金と異なり返却されません。

もともと賃貸物件がなかったころにお礼を包む慣習があり、これが現在も礼金として残っています。

札幌では一部の築浅・人気の物件にしかついていませんが、礼金の有無で初期費用が大きく変わってしまうため事前の注意が必要です。

交渉の可否

礼金カットの交渉は、敷金よりも交渉が通りやすいです。

完全にオーナーのポケットマネーのため、保証金として預かる敷金と比較しても心理的に外しやすいです。

仲介メモ

交渉成功率を上げるためには、時期が重要です。

繁忙期と呼ばれる1月~4月、9月~10月は、お部屋探しのお客様が他の時期の数倍になるため、礼金を払ってくれる人にしか貸さないと言われてしまう場合があります。

礼金付きの物件に住みたい場合は、閑散期を狙って交渉してみるといいでしょう。オーナー側も、礼金1か月分をカットしてでも早く空室を埋めたい時期になるため、交渉のしやすさが数段変わります。

ペット礼金

ペット可物件では通常の礼金とは別に、ペット礼金が設定されているケースがあります。相場は1匹につき家賃1か月分が多く、2匹以上になればその分上乗せされます。

物件によっては礼金の代わりに敷金の積み増しという形をとるケースもあります。

礼金は返還されませんが、敷金は退去時に清算されるため、どちらの形式かによって実質的な負担が変わります。

交渉の余地は通常の礼金より低く、ほとんど不可能です。ペット可物件はそもそも選択肢が少なく、オーナー側も傷や臭いのリスクを織り込んで設定しているためです。


前家賃・日割り家賃

前家賃・日割り家賃とは

賃貸契約において、家賃は前払いになります。

そのため、入居日から月末までの日割り家賃と翌月1か月分の家賃をまとめて前払いするのが一般的です。

月の途中から入居すると日割り分が上乗せされるため、入居日のタイミングによって初期費用が変わります。

金額を抑えるには

月初入居にするだけで日割り家賃が発生しません。たとえば15日入居なら半月分が余分にかかりますが、1日入居ならその分がそのままなくなります。

引越しのタイミングを調整できる場合は、退去通知を出す時期と入居日を合わせて考えると二重家賃のリスクも減らせます。次の部屋の入居日から逆算して退去通知を出すのが最も無駄のない動き方です。

よく聞くフリーレントは、この日割り家賃や前家賃のカットのことです。

礼金と同様、繁忙期は交渉が厳しく、早く入居してほしい時期、空室に不安を抱えがちなオーナーであれば比較的簡単にOKが出る場合が多いです。


仲介手数料

仲介手数料とは

仲介会社への成功報酬のことで、法律上の上限は家賃1か月分+消費税です。

貸主、借主から0.5か月+消費税分報酬をいただくのが基本ですが、許可があれば片方に1か月分+消費税の請求が可能です。

借主に1か月分請求するのが業界の慣習になっていますが、同意がなければ規定額以上の請求はできません。

大手の仲介会社であっても、知識を持って交渉すれば普通に応じてもらえますし、貸主にも別名目で請求しているため、営業マンのさじ加減一つでできる場合もあります。

交渉について

仲介会社は貸主側からも別名目で報酬を受け取っているケースが多いため、借主側の仲介手数料は比較的交渉の余地があります。0.5か月分+消費税への減額が現実的なラインです。

また、相見積もりを用いるなどすれば仲介手数料が無料になる場合もあります。その場合は、専任物件かどうかを必ず確認しましょう。

数は少ないですが、その仲介会社でしか取り扱っていない物件があります。そういった物件に強気に交渉をすると仲介を断られてしまう場合があります。

他の仲介業者では取り扱いのない物件のため、初期費用を下げるどころか物件が探しなおしになってしまう場合があります。


保証会社費用

保証会社とは

賃貸家賃保証会社(以下保証会社)とは、賃貸物件の入居者が家賃を滞納した際に大家さんへ家賃を立替払いする会社のことです。

少子高齢化による連帯保証人の高齢化、回収失敗のリスクを回避する目的で導入されており、今では賃貸物件の90%以上の物件が保証会社との契約が契約の必須条件となっています。

保証会社と入居者が結ぶ保証契約は、大家さんと入居者の賃貸借契約とは異なり、保証会社へ初期費用、月額費用、年更新料などが発生します。審査内容や信用情報によってプランが変わるので、入居審査後に確定することが多いです。

相場は家賃の30〜120%と幅があり、どの保証会社を使うかによって変わります。

種類と特徴

大きく分けて信販系、独立系、協会系の3種類があります。

信販系(エポスカードなど)は審査が厳しい分、初回保証料が安く更新料が発生しないケースもあります。

独立系・協会系は審査が比較的通りやすいですが、毎年更新料が発生するため長期入居では総額が膨らみやすいです。

交渉の可否

保証会社は基本管理会社が指定するため、保証会社自体を変えることは基本的にできません。

ただし同保証会社の中でも複数のプランが用意されている場合は、条件を確認した上で選択できることがあります。

初回保証料だけでなく更新料、月額費用の有無まで確認してから選ぶようにしましょう。


火災保険料

何のための費用か

賃貸を契約するうえでは、火災保険への加入は必須です。

物件やオーナーによって保証金額は異なりますが、家財補償・借家人賠償責任・個人賠償責任などをカバーし、場合によっては地震保険が付いてくる場合もあります。

管理会社の推奨・案内する保険に加入することが多いですが、プランを指定するのは違法のため、補償金額さえ確認していれば自分で決められます。

自分で選ぶ場合の注意点

管理会社が指定する補償条件を満たさない場合は加入し直しになるケースがあります。

また、契約開始日までに火災保険の証券がないと契約がキャンセルになったり鍵を受け取れない場合があります。

保険料を自ら加入して、20,000円→8,000円になったケースもあります。下の記事から選び方や適正な金額を確認してみてください。


鍵交換費用

何のための費用か

前入居者が使用していた鍵を新しくする/次の入居者の募集のための鍵交換の費用です。防犯上の観点から、契約の際には鍵を変えなければならないケースが大半です。

費用の目安としては、本数やセキュリティ強度によって大きく変わりますが、5,000円~30,000円とまばらです。

使いまわしの中古シリンダーであれば無料で交換してくれる管理会社もあります。どの物件の鍵かもわからないため、セキュリティにはほとんど問題はありません。

交渉の可否

原則として、鍵交換代はオーナーの負担になります。

しかし、契約書類の特約に鍵交換費用の支払いについての定めがある場合は鍵交換代を交渉で外すことは難しいです。

ほぼすべての物件が鍵に関する特約を付けており、一部の鍵交換代無料の物件や、オーナー施工で鍵交換費用の安い物件を選ぶ以外での交渉は難しいです。

まれに鍵交換自体が不要という方、任意で外せる管理会社もありますが、費用と防犯面のリスクを天秤にかけるとおすすめはできません。


退去時清掃費(入居時前払い)

退去時払いに変更できるか

退去時清掃料の前払い、退去時払い、敷金の有無でパターンが分かれます。

事前に敷金を徴収している場合は、各種清掃料が後ろ倒しにできる場合もあります。


室内消毒・害虫駆除費用

仲介会社が追加しているオプションの可能性が高い

室内に除菌効果のあるスプレーを塗布します。同様に、水回りに害虫駆除のスプレーをすることがありますが、害虫駆除のほうは数か月で効果が切れるため、注意が必要です。

日光に反応して除菌を行う「光触媒」がよく使用されているため、光触媒というワードには注意しておきましょう。

管理会社の条件に含まれていない場合、仲介会社が独自に追加しているオプションの可能性が非常に高いです。「契約条件に含まれているか」を確認するだけで外せるケースが多く、1〜2万円が相場です。

断り方

「契約の必須条件ですか?」、「管理会社に支払う費用ですか?」と確認しましょう。

必須であっても、仲介業者が嘘をついている可能性があるため、すぐに外せない場合は持ち帰って他業者にも見積もりを出してもらいましょう。

その際は、その物件に申し込みが入って埋まってしまわないか要注意です。


24時間緊急サポート・安心入居サポート

24時間緊急サポートとは

水回りや鍵のトラブルが発生した際の受付窓口サービスです。

管理会社の業務負担を減らす目的で導入されることが多く、電話をかけるとコールセンターにつながり、提携業者を派遣する仕組みになっています。土日は受付のみで対応が翌営業日になるケースもあります。

仲介か管理会社かで断れるかが変わる

管理会社の契約条件に含まれている場合は必須です。一方、仲介会社が独自に追加しているオプションであれば断れます。

見積もりに記載があった場合はまず「契約の必須条件ですか」と確認するのが先決です。

月額千円程度の課金型になっているケースもあります。少額に見えますが、3年入居すれば1万円以上になります。長期入居を検討している場合は特に確認しておきたい項目です。

仲介メモ

勝手にオプションをつけた上に、オプション契約必須と嘘の条件を伝える悪質な業者もいるため、複数社で相見積もりを取ることをおすすめします。

他者と項目や金額が異なる場合は、仲介会社が勝手に付帯している商品の可能性が非常に高いです。


初期費用を抑えるための優先順位

費用削減の順番

まずは仲介手数料や仲介会社のオプションを外せないか交渉しましょう。基本的に、お店に行けばその場で概算明細を作ってくれるので、外せる、値引きができる項目がないか探しましょう。

仮に概算明細を渡してくれない、項目の説明をしてくれない場合は費用が透明な他の業者を使った方が無難です。

実際に物件に申し込む際は、すぐに結果が分からない火災保険を自分で選べるか・フリーレント・礼金カットの交渉をお願いしてみましょう。

物件にもよりますが、5~6万円の単身向け物件であれば、5~10万円ほどの初期費用の割引が見込める可能性が高いです。

やってはいけないこと

費用を交渉していくうえで、いくつかの注意点があります。

仲介の担当者を介しますが交渉の相手はあくまでオーナーになるため、相手方のことを意識して押しすぎない交渉をしましょう。特にオーナーの審査において悪材料になりかねないため伝え方には要注意です。

敷金ゼロにこだわって退去時の費用を気にしない安さだけで火災保険を選んで条件を満たせないなどがあげられます。

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